アドヴェントカレンダー6日目・サン・ニコラの日

水曜日のレッスン日に電車のストライキが当たって、すっかり帰りが遅くなり寝落ち。

それで12月6日のブログは一日遅れとなってしまいました、ごめんなさい。


ベルギーでの、聖ニコラの日の話です。


幼稚園や小学生の子供たちは、サン・ニコラ(仏語で聖=Saintはサンと読み、Nicolasの最後のsは発音しません)がこの日の朝に置いていってくれるプレゼントを本当に楽しみにしています。カトリック系の国だと、これが12月6日なので、クリスマスより早くドッカーン!と大きいプレゼントをもらいます。クリスマスの日は大人が交換するついでに子供も少しもらう感じ。


元はと言えば、聖ニコラさんは、誘拐されてソーセージ(塩漬け肉)にされた子供たちを、7年後に生き返らせたという逸話から、子供たちに優しい聖人ということになっています。こっそり善行を行って、みんなに「誰にしてもらったか言わないで」とお願いしたので、そんな不思議なことが起これば「きっとサン・ニコラだね」と言うようになったらしいです。

子供の人権のなかった時代に子供たちを大事にしてあげたことが、今の「子供たちの聖人」の風習の理由なのですね。西暦300年ごろの人であるサン・ニコラは、売春に売られそうだった女の子を助けた話もありますが、悲しいことにその類の事件は今もあとを立ちません。ベルギーでは若い女の子たちの誘拐事件で大騒ぎになった時に、法整備が各方面で整えられた記憶がありますが、サン・ニコラの前日、大人はプレゼントをこっそり準備しながら、色々なことに思いを馳せることになります。

さて我が家の初めてのサン・ニコラは、娘が2歳になる前の12月のことでした。親の方にとっても「初めてのサン・ニコラ」なので、私は結構ワクワクしていました。夜寝る前に「にんじん」と「ビール」を一緒に暖炉の前に置いて、次の日の朝プレゼントが忽然と現れている、ということにベルギーではなっている。ベルギーのサンタさんにビールを用意するなんて、と笑ってしまいました。

というわけで朝になったらビールが空になっていて、にんじんもなくなっていないと「おかしい」ので、夜娘が寝静まってから夫がビールを飲み、私は人参を細かく刻んで調理したり冷凍したり食べたり、毎年していました(今書きながら思い出して笑った)。

初めてのサンニコラの朝、娘は起きてもそこにプレゼントがあるということまでは理解していないので、ビールがなくなって、にんじんもなくなったね、でも何かここにあるの、どうしてだろうね?みたいなお話を語ってあげて、初めて一緒にプレゼントを開けてみるという流れだったのですが、驚いたことに、そこにドッカーン!と大きな包みが(いやそれほど大きくはないけれど。。。40センチ角くらいでしたかね?)二つ置いてあるのを見て、娘は


わああーん!!!


と大泣きしてしまいました。


今思うと、親が盛り上がっているのが訳が分からなくて怖かったのだと思います。

プレゼントの方に行きたがらずこっちにしがみついてきて、絶対触りたくない!という感じになってしまって、ほんとうに夫婦揃って困惑しました。

仕方ないので、ほとぼりが覚めてから、前夜に一生懸命包んだ包紙を親二人でビリビリと破いて、箱も開けて、中にある「投げても踏みつけても壊れない、お子様おもちゃカセットテープレコーダー(マイク付き)」と、お菓子を出し、娘に渡したのでした。


その後、いろいろわかるようになって、12月6日はクリスマス当日とはまた違ったテイストの楽しい日となって行きましたが、一年目のサンニコラのことは私は強烈に覚えています。娘が可哀想だった日として。

ちなみにこのお子様おもちゃカセットレコーダーは本当に強固で、娘はその上に登って座ったりしていましたが、音楽はしっかり流れ続けていたと記憶しています。そしてマイクを握ってカラオケみたいに歌い、サンニコラのプレゼントが怖かったことはすっかり忘れて楽しんでくれていました。


追記💨

ストライキの中教えにいったレッスンでのことですが七歳の生徒たちが「サン・ニコラ来た!」と言っているので「よかったね」と言うと「すごいんだよ、ビールが空になってたの」「人参もなくなってたの」と大騒ぎ!その2点が、やっぱり信じざるを得ない大事なディテールなんだ、と私も改めて感心してしまった。ベルギーの子供たちは人参とビールを、トナカイとサン・ニコラさんへ「お疲れ様」の気持ちで前夜に準備しているんだ、と思うとほんと面白い。ただ、現代では別宗教の家の子供たちも、無宗教の家の子供たちも学校にいるので、ビールは絶対に置かない(アルコールは飲んじゃいけない宗教)人もいるし、学校で「オー、グランド・サンニコラ」の歌を歌うときは「ちゃんとお祈りします」という歌詞のところを「ちゃんと勉強します」と歌うなどの工夫?をして、それでもサン・ニコラの日はしっかりお祝いされ続けるのですから、サン・ニコラさすが強い。








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